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ルーンウォーズが良く分かる本

やぁ、こんにちは、旅人殿。どちらへ向かわれるので?

え?僕が誰かって?僕は、語り部なんだ。だから、僕の名前にあまり意味は無いな。通り名はあるんだけどね。今は、とりあえずはグローランサという世界に戻るところ。

……何、そちらさんも御同様で?そいつは良かった。旅は道連れ、世は情け。一人旅より、二人旅の方がずっといい。少なくとも、話し相手がいるものね。これまで旅した世界をネタに、情報交換としゃれ込むのが良さそうだ。

……ほう、最近のグローランサにはあまりなじみがないとおっしゃる。よろしい、では適当にグローランサに行くときに、知っておいた方がいいことを伝えて進ぜましょう。

……と、その前に。

もちろん、貴方が一番最初にやるべきことは、GM や他の PL 達と一緒に、このゲームでどんなことをしたいのかを相談することだ。というか、正直その手続きさえ踏んで、ちゃんとみんなの合意が得られているなら、特にそれ以上の取り決めは必要としない。

けれど、いきなり“相談しろ”なんて言われても、そもそも相談して何を決めればいいのか相談する際・される際に意見を決める基準は何かといったことが分からなければどうしようもないから、以下に一通りこのゲームで起こることの概略を説明するわけだ。

ということは、例えば“最初にキャラクターを作成しましょう”って書いてあっても、本当は以下の説明全体を通読してから、もう一度戻ってきて、“自分のキャラ作成はどうすればもっと良くなるか”を考えるべきだ。だから、以下では“説明の都合上”一方向に進むように書いてあるけれど、実体はもっと錯綜しているから、気をつけて欲しい――まぁ、普通のRPGだってそうだとは思うけど。

あと、ルーンウォーズというゲームの“本当のルール”は、実は相当に無機質な、機械的な構造をしている。おまけに、ヤツは――ルーンウォーズの世界律である、“不完全世界機械ジストル”は――機械なのに、不完全なんだ。だから、ヤツと向き合う場合、予めルールが記述している現象と記述していない現象との間に確固とした区別を見た上で、さらにルーンウォーズのメタルールが許しているルールの可能性を読み取った上で、それらを実装してやる必要がある。本質的に、ルーンウォーズのルールっていうのは、RPGに特化したプログラミング言語なんだ。

で、じゃぁ初心者がその“プログラミング言語”にいきなり触れるべきかっていったら、絶対にそうではないよね。ゲームを通じて、個々のルールメタルール――メカニズム――に触れて、その働き方を憶えていく方がずっといい。少なくとも、つらくないもの。

だから、以下の“ルール解説”では、詳細なルールについてはむしろ積極的に“GMに尋ねよう”と書いてある。けど、これは個別のルール詳細を一度意図的に隠蔽しているのであって、存在しないわけではない。

そして、もしこの解説を読み終えて、なおジストルのメカニズムについて興味を持ったなら――もしかしたら、不幸な話かもね――もう一度このルール解説を読み直して、ルーンウォーズの全体像を頭にたたき込んだ上で、後の章を読むといいだろう。

キャラクターの作成

とりあえず、グローランサに到着する前に貴方がどんな人物か、簡単に履歴書みたいなものを準備しておくのがいいだろうね。いわゆるキャラクターシートに、貴方のキャラクターをまとめておこう。

キャラクターのフォーマットと各要素の意味

キャラクターシートに書くべき内容は、短い順に:

キーワード
一番短い貴方の紹介で、〔こんな形の〕括弧の中に、〔民族〕や〔職業〕、〔宗教〕、〔特筆すべきキャラクター像〕、〔その他一言キーフレーズ〕を大体 5〜10個書いたもの
アブストラクト
キーワードだけだと、例えば〔戦士〕という職業についているのか、それとも〔戦士〕という生き様を選んでいるのか(生き様として〔戦士〕の道を歩んでいても、職業は〔深窓の令嬢〕って人だっているわけだし)といったキーワードの意味づけがよく分からないから、それらの間の関係を簡潔に書いておこう。大体、英語で 100 語以内、日本語だったら 200 〜 300 文字以内かな。初対面の人に自分を紹介したいときは、このアブストラクトを見せればいい。
プロフィール
貴方の略歴といったところ。実は、このゲームでは一番重要な代物なので、腕をふるって書いてみてほしい。
内容はアブストラクトよりも適度に詳細で、“物語”として読みやすいものを。つまり、後述のアトリビュートリストの内、特徴的な(つまり、能力値を増幅した)アトリビュートの情報はきちんと含んだ上で、個々のアトリビュートがどうして貴方に備わっているのかを、ある程度の一貫性――例えば、因果関係があるアトリビュート同士を一つのイベントにまとめた上で、貴方の人生においてそれらのイベントが発生した時系列順にまとめたものとか――を持って書けばいい。とりあえず、長さはあまり気にしないで書いて構わないと思うよ。他の旅人にしても、貴方のプロフィールはちょっと落ち着いた時にまとめて目を通したりするものであって、旅してる最中に急に読まされるものでは、無いから。
アトリビュートリスト
グローランサで旅をしているとき、実際には何が起こったかを決めている要素のリストだね。原則として〈こんな形の〉括弧の中に、〈キーフレーズ、種別、ルーン強度能力値〉の順番で情報が略記されている。
キーフレーズ
は、例えば“剣戦闘”や“神話知識”といった貴方の能力や、あるいは“優しい”や“野望”といった性格、あるいは“白い”や“高貴な生まれ”といった属性、“プラックス人と戦った”とかの過去の来歴、それに“ぬるぽ”や“もっさりふさふさ”や“今北産業”といった訳の分からない一言まで。何が書いてあっても構わない。
“種別”
は、そのアトリビュートがグローランサの中でどのような役割を果たすかを表している。実のところ、重要なのはそのアトリビュートが普通のアトリビュートが、それとも“弱点”かの二択でしかないので、その欄は空欄か“弱点”と書いてあるかのどちらかだ。“弱点”の場合、そのアトリビュートは貴方以外に、例えば GM や他の PL も利用することができる(他人の弱点アトリビュートを用いて、任意の判定を行える)。
普通の場合、GM は美味い具合に PC の弱点を利用して、“シナリオ”の筋書きを進めるのに使うだろうね。
ルーン強度
そのアトリビュートが、グローランサの中でどれくらい“威力”を持っているかを示している数値だ。ルーン強度は“魔術”を表すルーン“R”の次に数字を書くことで表されて、普通は R0 となっている。R0 のルーン強度を持つアトリビュートによる行為の結果は、人間一人が同じようなことを(比較的短い時間で)したときと同じぐらいの大きさになる。R1 のアトリビュートなら、20人の人間が働いたのと同様。以降、ルーン強度が1上昇するにつき、20倍の大きさの人間集団が関与したのと同じ程度の効果だ。
さて、“普通は”R0 だと述べたけど、実はR1 以上のルーン強度を持つアトリビュートは、特殊な背景か、あるいは宗教を通じた魔術によって獲得する。そのため、基本的には空欄のまま、GM に言われたときに R1 と書き込めばいい。R2 以上のルーン強度を持つアトリビュートは、流石にグローランサに入ったばかりでお目にかかることは無いと思うよ。……もしNPCが持っているのを見かけたら、かなり観念しておいた方がいいだろうね。
能力値
最後に、能力値ルーン強度は“威力”みたいなものだと言ったけど、これは“成功率”を表していると思っていい。だから、ルーン強度だけは高いけど能力値の低いアトリビュートってのもある(かなり、はた迷惑な代物だ――このゲームでは、失敗すると成功したときと反対の結果が起こるから)し、ルーン強度は低いけど能力値は高いアトリビュートっていうのも、ある。
能力値は、0 〜∞までの普通の数(整数)なんだけど、ちょっとその表記法が変わっている。ヘンテコな 20 進法で書くことに決まっているんだね。“支配”を表すルーン文字“w”を挟んで、左側に総能力値を 20 で割った余り、つまり0-19までの数値を記入し、一方右側には総能力値を 20 で割った商を記入する。ちなみに、時々左側に“20”が書いてある略記法を取っている場合もあるんだけど、まぁ意味は分かってもらえると思うので適宜修正してもらえると嬉しい。数学的には、気分が悪いけど。
何でこんなけったいな風に能力値を記入するかというと、このゲームでは20面体サイコロ(D20)を使用するので、こういう風に記入しておくとD20の出目と能力値を比較して考えるのが簡単――左側の数値とD20の値を比較すれば、とりあえず判定結果がどうなったかは分かる――になるからだ。……ややこじつけっぽい理屈なんだけど、まぁそういうことにしておいてくれると嬉しい。
ところで、能力値の“w”の右側に書いてある数字――総能力値を20で割ったときの商――の値を、特に“マスタリー”と呼ぶ。このゲームでは、このマスタリーの値を使って能力値のおおむねの大きさを表すのに加え、マスタリーの値はルーン強度と対応している。後でちゃんと説明するけど、基本的に魔術のルーン“R”と支配のルーン“W”は、同じものを指しているんだ。
能力値の大きさだけど、大体プロは13〜1マスタリーぐらいの能力値を主要なアトリビュートに対して持っていて、マスタリーがあるなら普通の行為はほとんど失敗しない。マスタリーが2などになると、大きな共同体――街や氏族といった、400 人以上の集団――の中で一番、くらいの腕前に相当する。普通の行為の失敗確率は、1/200 くらい。以降、マスタリーが上がる事に、20倍の規模の集団で一番で、普通の行為の失敗確率は 1/10 倍になっていく。
その他注記
例えばこれまでにないキーワードを参照していたり、あるいはちょっと説明が必要な固有名詞を使っていたりするなら、その典拠などは示しておこう。重要なのは、キャラクターシートを読んだ他人が、貴方がどんなキャラかを把握できることにあるから。外部参照をするなら、きちんと参照を入れておくべきなのだね。
後、特殊な背景を通じて固有の魔術を持っているなら、その作用についてはちゃんと書いておいた方がいい。ただ、これは魔術を記述するためのメタルールを把握している必要があるから、それを準備するのはやや大変だ。GMに相談するといいだろう。

といったところだ。

キャラクターコンセプトの決定とアトリビュートの抽出

……何、そもそもどんなキャラクターを創ればいいか分からない?やれやれ。とりあえず、貴方がどんなキャラクターを創るかのコンセプトを、まずはまとめるべきだね。

まず、一番大事なことを言っておくと、このゲームではどんな大ボラを吹こうと構わない。せっかくグローランサを旅するのだもの、一つ私は世界を解放する運命を背負った勇者だとかかつて世界を暗黒と混沌の魔の手より救った偉大なる神が、世界の危機において再度地上界に降臨した存在であるとか未来の世界から世界のバランスを救うためにやってきた、超越魔術師だとかあるいは可愛らしく朝の登校時間に主人公と街角でぶつかる〔ツンデレ〕〔幼なじみ〕とか、いくらでも適当なことを吹いてしまえばいい。

……嫌かい?うーん、困ったな。実は、このゲームではこういったアホなホラ話からキャラクターを創ったほうが、キャラクター作成は簡単なんだけど。何しろ、グローランサの住人を装う場合、グローランサの状況をそれなりに偵察して、準備しないとイケナイでしょ?むしろ、そんな既存の設定を調べることは他の人に任せて、貴方の方では「オレがグローランサを定義してやる」くらいの認識で臨んだ方が、ゲームを始める上では楽だと思う。

え?先ほどのルーン強度ルールを聞いていると、どうも裏があるように感じるって?

その通り、何でゲームの最初、キャラ作成で大ボラを吹いても大丈夫かというと、このゲームではゲームが進むとホラとメッキがはがれて確かに最初に宣言したとおりのキャラではあるんだけど、どんどん具体的な存在に、結果として、グローランサにおいて普通の存在になっていくからなんだ。だから、最初のホラは大きくても構わないんだ――ゲーム中に、バランスを適当に取ることができるから。ただ、その結果としてなにやら侘びしいことになる場合もあるし、あるいは全く逆に、みんながホラだと思っていたのに、うっかり本当のことになってしまったりすることが起きるけどね。どういう結果になるかは、ゲームを始めるまで分からないという点が重要かな。だから、ホラ話系のキャラを創る場合、あまり細々した設定から始めると後が大変かもしれないね。

……何、やっぱりなるべく普通のグローランサ住人になりすましたい、と。仕方がないね。その場合、基本的に“人間”ということにしよう(言い忘れていたけど、別にキャラクターが人間である必要は、無い。エルフだのトロウルだのの異種族個体でも構わないし、そもそも“邑”や“神殿”といった共同体だって構わない。もっと言えば、別に物理的実体にこだわる必要も無いので、やりたければ――後、大事なこととして GM が泣いて勘弁してくれと頼んだりしたら引っ込めようね――“妙なる音楽”だとか“美しさ”だとかの現象や抽象概念をキャラクターにしたって、構わないよ)。

で、いわゆる人間を区別している要素は、〔民族〕、〔職業〕、〔宗教=魔術〕なので、これらを一つずつ(〔魔術〕は色々な要素によって定義されているから、複数取得するかも知れない)選択していこう。リストは GM に示してもらってね。

まぁ、こうしてコンセプトをまずは決めよう。コンセプトからはキーワードが抜け出せるから、忘れずにメモを。

そしたら、次にやるべきはアブストラクトとプロフィールをすっ飛ばして、いきなりアトリビュートリストの構成だ。

キーワードを参照してみよう。そうすると、内訳に“そのキーワードが持っている典型的なアトリビュート”が記述されているね?これらは、“もしそのキーワードに対応した理想的なキャラクターが存在した場合”、その理想的なキャラクターが持っているだろうアトリビュートのリストだ。

そこで、キャラクター作成においてはこれらキーワード下のアトリビュートリストから、好きなアトリビュートに対してサイコロを振って、能力値を決めていく(アトリビュートの抽出)。この時、アトリビュートの抽出はなるべく多めに(具体的な量は GM と相談して決めよう)、を念頭においた方が、後の作業が楽になる(ちなみに、典型的な後利ビュートの総数は、一人のキャラクターにつき 80! にもなるので、実際に手でサイコロを振らない方が楽だよ。適当なスプレッドシートと乱数マクロを使って、楽をするべきだろうね)。

振るサイコロの数は、以下の表に従って決めよう……というか、GM が指定するだろうけれども。

サイコロを振り終わったら、まずは全体のアトリビュートリストを眺めながら、そのキャラクターがどんなキャラクターなのかについて、イメージを膨らませよう。このイメージが、先ほどの“キャラクターのコンセプト”になる。だから、もし先にキャラクターのコンセプトが決まっていたら、乱数の結果を加えてもう一度コンセプトを練り直すことで統一感のあるプロフィールを書くことができるようになるだろう。

あ、それと。どのみちキャラクターは比較的ろくでもないことに巻き込まれていくから、可能な限り、キャラクターの目的意識をきちんと設定しておくことを勧める。もし目的意識を定めないなら、“自分のキャラには今、目的意識が欠けている”ということを重々承知の上、プレイヤーの目的意識としては“どうにかして、キャラクターの目的意識を発見する”ぐらいの勢いでゲームに臨むべきだろう。

(続く)


以下、ゲーム中で実際にプレイヤーが必要となる順番に、ルーンウォーズをベタなRPGとしてプレイした時のルール解説をフランクに記述する。取り扱うメカニズムと順番(≒おおよそのストーリー立て)は、以下の通り:


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