コアメカニズム2.:基本オペレーションとルール

基本的な[{資源}]と[「アクション」]・[『オペレーション』]の例

ここまでに導入した[判定]と[判定型]に関する[アクシオム]は十分に強力であるため、[キャラクター]に対するわずかな仮定から幾つかの[オペレーション]が自然に定まることになる。

そこで、以下では[判定アクシオム]の直接の帰結としてそれらをまとめておく。

一般に、この種の短い[オペレーション]は、中心となる[クーポン]とそれを操作するための幾つかの[アクション]から定義される。

以下、特定のゲームタームは基本的にその種別に対応した括弧で示される。主なものは以下の通り

1. 『肉体』

肉体的な損傷を表す{耐久力}を中心としたオペレーションは、以下の通り:

{耐久力}:
初期値(最高値):
20R0
不可逆処理:
0R0 になった段階で{重傷、弱点 0R0}となる。
  • また、{重傷、弱点}となった時点で、さらに適当な障害アトリビュートを〈(障害名)、弱点〉としてキャラクターレベルから求まる乱数に等しい能力値で獲得する。こちらは強力な魔術等を使用しないと除去できない。
{重傷、弱点}:
効果:
{重傷}時は肉体的アトリビュートによる判定が R0 成功しなくなる。
  • さらにダメージを受けた場合、{重傷、弱点}の値が上昇。
  • 20R0で{死亡}。
  • {重傷、弱点}の能力値はその値を[能力値-連続成功回数表]で変換したのに等しい
「(自然回復)」:自動(1回/1日)
  • 通常は1R0{耐久力}が上昇(上限20R0、判定不要)
  • {重傷}時は、まず{重傷}と適切なアトリビュート(〈耐久力〉や治癒に用いられている環境アトリビュート)との間で、{耐久力}を対象とした対称対立判定を行う。治癒側勝利により、1R0 {重傷}の値が減少、または{耐久力}が上昇する。一方、治癒側敗北の場合は逆に{重傷}が1R0上昇する。

2. 『精神』

2.1 {魔力ポイント}

{魔力ポイント}は、R0 の{ヒーローポイント}であり、また個人の意欲・気力・積極性・活動性・創意工夫等、また肉体的であっても疲労、栄養、休養状態など肉体的損傷として表面化しない部分についてを表示している。

{魔力ポイント}を中心としたオペレーションは、以下の通り:

{魔力ポイント}:
初期値(最高値):
20R0
不可逆処理:
0 になった段階で{無気力、弱点 0R0}となる。
{無気力、弱点}:
効果:
{無気力}時は全てのアトリビュートの能動的行使において、R0 成功しなくなる。また、全ての{感情}の増加に対して、非対称対立判定で抵抗する。{無気力}が抵抗に勝利すると、対象の〈アトリビュート〉による「{感情}の生成」はこのシーンの間成功しなくなる。{無気力}が抵抗に敗北すると、このシーンの間{無気力}はそれ以上の抵抗を試みても成功しなくなる。
「(自然回復)」:(自動、1回/2週間)
  • 通常は1R0{耐久力}が上昇(上限20R0、判定不要)
  • {無気力}時は、{無気力}と適切なアトリビュート(〈適切な感情〉や、環境の持つ適切な感情喚起のためのアトリビュート)との間で、{無気力}を対象とした対称対立判定を行う。回復側勝利により 1R0 の{無気力}がの減少、または{魔力ポイント}が増加する。一方、回復側敗北の場合は逆に{無気力}が1R0増大する。
「(R0 強度魔術)」
《魔術能力》は、使用において{魔力ポイント」を消費することで、適切なアトリビュートに対する(速度の)「増強」または「緩和」に用いることができる。このとき、最初に{魔力ポイント}が消費されているので、「増強」または「緩和」の失敗はそれ以上の悪影響は引き起こさない。これが、{魔力ポイント}の主要な機能である。

さらに、『精神』には特殊な{魔力ポイント}である{感情}が定義される。

2.2{感情}

{感情}は、PL が宣言し、[判定]したR0 強度の[アクション]が適切な物語的帰結を持たないとき、NHP の発行の代償として PC が受け取る{魔力ポイント}の一種である。基本的に、NHP 発行の引き金を引いたアトリビュートに適切な{感情}が発行される。

例えば、目の前で剣を振り上げて攻撃してくる相手に対して、応戦を試みる代わりに防御をしつつ説得を試みた場合、{慈悲深い}や{平和主義}といったクーポンとして入手する(このとき、なるべくキャラクターが保有する既存の性格アトリビュートと同じものを優先して選択する)。

{感情}
初期値(最低値):
0R0
用途:
{感情}は、特殊化した{魔力ポイント}であるため、{魔力ポイント}の代わりとして消費することができる。

ただし、このために{感情}を消費するときは必ず、キャラクターはその感情と整合的な行動を取っている必要がある。

例えば、{恐れ}を用いるなら、「逃走」に対する「増強」や「緩和」を引き起こすことができる。一方、「受け」を{恐れ}を消費しながら「緩和」することもできるかもしれないが、この場合その同じラウンドにおい「攻撃」が実行できなくなる(整合的な行動による制約。本質的に、{恐れ}は過度な防御行動を引き起こす)。
不可逆処理:
20R0になった段階で{激情、弱点 0R0}となる。
{激情、弱点}
効果:
{激情}時は全てのアトリビュートの能動的行使において、{激情}と整合的な行為以外は成功しなくなる。また、激情している以外の〈感情〉による全ての「感情抑制」の試みに対して、非対称対立判定で抵抗する。{激情}が抵抗に勝利すると、対象の〈感情〉はこのシーンの間成功しなくなる。{激情}が抵抗に敗北すると、このシーンの間{激情}はそれ以上の抵抗を試みても成功しなくなる。
「(自然回復)」:(自動、1回/1日)
  • {激情}-1R0(判定不要)
  • {激情}は長くは持たないので、特に自然回復に対しても抵抗しない。
「(感情の自発的喚起)」
〈感情〉または〈性格特性〉を用いることで同名の{感情}を生成することができる。
  • {魔力ポイント}を1R0消費。
  • 適切な状況を説明し、〈感情〉または〈性格特性〉で判定を行う。
  • 成功すると、対象{感情}が2R0増加し、失敗すると2R0減少する。失敗時に{感情}がたりない場合、代わりに{魔力ポイント}が減少する。
  • 自発的な感情喚起に対し、{激情}または{無気力}は常に抵抗を試みる。それ以外にも、特殊な環境は自発的感情喚起を妨げる場合がある(例:非常に腹立たしい光景の中、気分を陽気に持って行こうとする、など)
  • この「アクション」には、通常{手番}などは不用であるため、他の「アクション」に引き続いて行うことができる(故に、「R0 強度魔術」のロールプレイと重ねて行使することで一挙動で増強緩和しつつ主行動を並行して行うこともできる)。
「(感情の他者による喚起)」
〈感情・性格特性〉は、全て弱点としての性質も持つ(もしキャラクター作成時点で弱点と指定している場合、その性格が広く知れ渡っているか、あるいは見た目から明らかとなっている)。そのため、他者もロールプレイを通じて対象に働きかけることで、対象の{感情}を増加させるよう試みることができる(それによって、対象の行動を制約することができる――{激情}するにせよ、魔術により消費するにせよ、その{感情}通りに行動する必要があるため)。
  • 他者からの感情喚起に対し、{激情}または{無気力}は常に抵抗を試みる。それ以外でも、キャラクターは自分の〈性格特性〉を用いて抵抗を試みて構わない
  • 通常、増加速度の基準値は4R0。
  • 実際にどのアトリビュートを用いて感情を喚起できるかは、個別のオペレーションを参照すること。例えば、{恐れ}などは『戦闘』、{購買欲}などは『商業』により定義されることになる。
「感情の自発的抑制」
異なる〈感情・性格特性〉や〈信念〉を用いることで、{感情}を自発的に抑制することを試みることができる。
  • 基本的に「感情の自発的喚起」と同様。(魔力ポイント}を消費して〈感情・性格特性〉判定を行い、速度2R0で{感情}を変動させる)

3 『情報』

R=W における情報は、ナレーションにおける文章情報とディスカッションにおける形式情報に大別されて評価される。

3.1 文章情報

ナレーションにおける文章情報は、文章量と持続時間の両方の視点から評価され、

  1. 基準ルーン強度と等しいルーン強度成功一回で入手できる情報は、
    why を除く 5W1H が全て定まった一文からなり、かつ
    時間
    そのシーン中においては真であるような情報
  2. 基準ルーン強度 + 1 に等しいルーン強度成功一回で入手できる情報は、
    その対象(キャラクターシーン)に対する標準プロフィール程度の情報で*1
    時間
    そのセッション中において真であるような情報 と定める。

例えば、開けた牧草地において、大遠距離に存在する人間らしき人影に対し〈視力〉判定を試みたとしよう。

通常の成功により、where, when, who, what, how が、即ち、

「村の共有牧草地の外れで、今現在、村人では無い誰かが、氏族の羊を、盗んでいる」

ぐらいの情報が分かるものとする。この情報は、基準ルーン強度における量、時間の両方の基準を満たしている。実際、盗人は次のシーンでは別のところにいるかもしれないから、次のシーンでは既にこの文章は真ではない可能性がある。

一方、クリティカルによりこの情報は 20 文程度、もしくはそもそもその盗人の風体をプロフィールとして記述できる程度の情報が集まり、しかるべき手段(画像を使った聞き込みなど)を用いれば個人が特定できる情報が入手できたとする。この情報も、基準ルーン強度+1 における量、時間の両方の基準を満たしている。実際、盗人のキャラクターシートはセッション中においては不変であるから、判定結果として得た文章はセッション中において真である。

いま、情報の基準として文章量と持続時間の二つを考えることについて、若干付言しておく。R=W ではなく HW/HQ でキャラクターを作成した場合、そのプロフィールは「固有名詞を除く 100 words 以内の文章」からなる。

故に、今 5W1H を埋めた文を 20 程度集めると、およそ対象の持つプロフィール*2が再構成できたに等しい。つまり、量の基準と時間の基準が共に等しいルーン強度を与えることになる。というわけで、R=W においてもこの関係を仮定することで、情報に対しても「20 回の R0 成功で、R1 成功一回と等価かまたはその半分程度の量が入手できる」という関係が維持できる。

3.2 形式情報

まず、現実世界において我々が知ることのできる情報は、必ず対象の統計的な情報であるに過ぎないことに注意しよう。故に、仮に現実世界のある量が能力値を持っている場合、

  • その能力値を用いた判定を観察することで、成功/失敗の回数を記録する
  • 統計的な推量を行うことで、「あり得そうな能力値」を推定する

の二つのステップによって、能力値を推定することになる。

今、R0 強度におけるアクションは「原則として、現実世界と同等」と定めているから、このような統計的推量に見合った形で公理化されることになる。すると、基準ルーン強度が R0 程度の場合、能力値 0 〜 19 の範囲であれば、一定の時間確認することでかなり正確に能力値を推定することができるが、それ以上の能力値であった場合は、単なる単独判定の結果を参照するだけではほとんど常に成功しかしないため、正確な能力値を見積もることは非常に困難であることが分かる。

そこで、あるキャラクターが知覚系または解析系アトリビュート単独判定成功した場合、

  1. 対象の能力値が 0 〜 19 である場合:正確な能力値を知る。
  2. それ以上の場合:とにかく、 20 以上という情報は手に入る。

としよう。

これの拡張として、一般に知覚・解析に用いるアトリビュートルーン強度 r で成功した場合、

対象の能力値が 0 〜 20 × r - 1だった場合:
正確な能力値を知る。
それ以上:
とにかく、 20 × r 以上という情報を手に入れる。

とする。

さて、これらをまとめてみると、実はこれは対象の能力値単純比較判定を行っていることとほとんど変わりがない。故に、対象の能力値を知るアクションに対しては、以下の指針を適用する:

「対象の能力値を知る」
対象のアトリビュート/クーポンと、鑑定に用いるアトリビュートとの間で単純比較判定を行う。鑑定者が勝利した場合、対象の能力値が判明する。一方、留保もしくは敗北であった場合、低い方の(つまり、鑑定者の)累積成功度を能力値―期待連続成功回数表を用いて能力値に変換した値より上、と判断する(誤認である可能性も残る、ということ)。

4. 『交換』

R=W において、原則としてはルーン強度が等しい判定結果同士の価値は互いに等価である。

しかしながら、これは必ずしもキャラクターの間において判定結果として得られるクーポンの価値について意見が一致することは意味しない。

今、二つのキャラクター X,Y が互いに二つのアトリビュートを、

キャラクター X
アトリビュート1 a〉、〈アトリビュート2 b〉
キャラクター Y
アトリビュート1 A〉、〈アトリビュート2 B〉

という値で保有している状況を考える。加えて、〈アトリビュート1〉については X の方が得意(即ち、 a > A )である一方、〈アトリビュート2〉については Y の方が得意(即ち、 b < B)であるとしよう。

すると、X が〈アトリビュート1〉の判定を行ってその結果を Y に与え、一方 Y は〈アトリビュート2〉の判定を行ってその結果を X に与える(即ち、交換する)場合、両者は互いに自分よりもよい結果を得ることができる。

故に、X, Y の双方が互いに相手の持つ得意アトリビュートの結果生成されるクーポンを必要としている場合において、交換がすることで互いに利益が発生する。

この時、交換が発生してそれが利得を生み出すために必要な条件は、X, Y が共に互いが必要なアトリビュートを持っており、かつ相手の方が得意である、ということを確認する = 両方のアトリビュートに対する情報入手であるから、結局、これは 3.2 における形式的情報入手にかかっていることになる。

そこで、以下のアクションを定義する:

「互いに利潤が発生する交換」
互いに相手のアトリビュートに対する鑑定に用いるアトリビュートを用い、対称協調判定を行う。

成功した場合、両者は目標のアトリビュート判定を行い、成功結果を相手に与え、失敗結果は自分に適用する。

一方、最初の対称協調判定失敗であった場合、両者は互いに目標のアトリビュート判定を行い、失敗結果を相手に与え、成功結果を自分に適用する。

協調判定留保だった場合、特に交換は行わない。

5. 『生産』

グローランサの1年は、40 週間の通常季節に 2 週間の聖祝季を加えた 42 週間からなっている。ここで、聖祝季は通常特殊な用途に使用されるため、残り40 週間を労働期間とする。2週間に一度の割合で〈労働〉緊迫判定が発生すると、一年間に20回判定が行われることになる。

この一回の判定で、

成功
2週間分の生活費+2週間分の余剰生産
留保
2週間分の生活費のみ
失敗
生活費収入0+次の2週間は〈労働〉に成功しない

とすると、一人頭〈労働 10〉でギリギリ生活することができることになる。これを最低限の生活費と仮定しよう(実際にはファンブルが起こるので、魔術を用いてでも失敗留保に変更していかないと、長く生きるのは難しいが)。

ここから、緊迫判定一回の成功がどの程度の金額の行為かが換算できて、一人あたり4週間分の生活費 = 28 s.p. となる(内半分は生活費、半分が次の失敗用の蓄え)。というわけで、これが基本的な労働行為の相場となる。ただし、当然ながら冒険に対する報酬などはこれよりもずっと低い値になる(当たり前だが、依頼者は状況の調整に伴う報酬を得るし、それにほとんどの緊迫判定は結果として冒険者側の取り分となるため、改めて誰かが報酬をそれに対して払うわけではない)。冒険者の得意アトリビュートマスタリー程度だとして、一人あたり 20 回の成功回数を最終的に設定するなら報酬は一人頭 600 s.p. となる(これが、戦闘が発生した場合の危険報酬の上限だろう)。実際には失敗分をさっ引かれるので、実際はもっと少なく、100 〜 200 s.p. がせいぜいだろうが。

と同時に、このことから分かるように、マスタリー以上の能力値はとりあえず(ファンブルに対する保険以外の観点からは)無意味である。故に、通常これら高い能力を持つ個体は生産性を増大させるために魔力を使用して生産速度増強していることが多い(それこそ、バーンターの魔術を用いて英雄界で耕作を行えば、莫大な収入が発生する)。

6. 〈縁故〉と{信頼・結束}、『共同体』

HW/HQ 系メカニズムにおいては、〈縁故〉は非常に重要な取り扱いを受けるアトリビュートとされる。そこで、以下では〈縁故〉を用いたアクションと、それに付随する資源である{信頼}について定める。ちなみに、《(神の)入信者/帰依者》といった《信仰/Piety》はカミサマに対する〈縁故〉だったりするので(これは HW/HQ のルール)、当然以下のルールにも従う。

〈縁故〉には、大別して

対等:
対等な二つのキャラクター間に存在する関係を表示する〈縁故〉
例:
友人、敵、足手まとい、パトロン、同盟者、敵対者
包含:
基準ルーン強度が上位のキャラクター(共同体)が、下位のキャラクターを包含する関係を表す〈縁故〉
例:
共同体に対する帰属関係、ある共同体に対する指導者の地位、党派関係等

の二通りがある。

この時、対等な場合は双方のキャラクターが〈縁故〉を持ち、そのアトリビュートに付随して{(相手からの)信頼}を考える(都合、一つの関係にアトリビュート資源共に二つずつ存在する)。

一方、包含関係の場合は、下位のキャラクターが〈縁故〉と{(共同体内部における)信頼}を持ち、一方上位のキャラクターはただリーダーの〈指導力〉と{結束}を持つことにしよう。

{信頼}、{結束}は共に保有するキャラクター基準ルーン強度に等しい強度を持つ。

一方、〈縁故〉は普通は保有するキャラクター基準ルーン強度に等しい強度を持つが、場合によりさらに高い強度を持つことがある。例えば、共同体の指導者達は、〈縁故〉として〈(共同体)の指導者〉といったアトリビュートに、共同体側の基準ルーン強度に等しい値の強度を有している。以下、保有キャラクターと共同体の両基準ルーン強度間に差があるなら、中間管理職を表すような強度を有する〈縁故〉を設定することもできよう。

〈縁故〉に付随した{信頼}・{結束}を中心とした諸資源とオペレーションは、以下の通り:

ルーン強度不定 信頼・結束:
初期値(最高値):20
不可逆処理:
0 になった段階で{不和、弱点 0}となり、さらにダメージを受けた場合、{不和、弱点}の能力値がそのダメージを[能力値-連続成功回数表]で変換したのに等しい値に悪化する。-20 で{消滅}。
例:
スカルポイント氏族(基準強度 R2)が、外来の商人を装ったオーガの試みている英雄の探索行に伴い、{結束}を0にされ、さらに R2 強度のダメージを1点加えられた。

今、累積判定における基準強度 R2 の成功は、R0 成功度で 20×10^(2-1) = 200 ポイントに相当するから、[能力値-連続成功回数表]を参照すると、{不和、弱点 17w1}となる。更に R2 ダメージが累積すれば、ドンドン事態は悪化することになる。
効果:
{不和}時は〈縁故〉による判定基準ルーン強度以下では成功しなくなる。
自然回復:
R0 強度の{信頼・結束}で、1pt/1日。以下、{信頼・結束}の強度毎に 20 倍の時間を要する。
  • {不和}時は、まず{不和}と適切なアトリビュート(〈謝る〉や〈指導力〉といった関係を取り持つアトリビュート、あるいは〈危急存亡の時〉といった、関係が置かれた環境におけるアトリビュート)との間で対称対立判定を行う。回復側勝利により、1pt. の{信頼・結束}が回復し、結果として{不和}の能力値もそれに合わせて減少する。一方、回復側敗北の場合は逆に{信頼・結束}がさらに減少し、{不和}も悪化する。
  • また、{不和、弱点}となった時点で、さらに適当な障害アトリビュートを〈(障害名)、弱点〉としてキャラクターレベルから求まる乱数に等しい能力値で獲得する。例えば感情的なしこりが残ったのかもしれないし、共同体内部に敵対関係を発生させたのかもしれない。こちらは強力な魔術等を使用しないと除去できない。
例:
スカルポイント氏族内部の調停に派遣された"幻視者"タイトニア嬢は、《女性を説得する 2w2 R1》を有する強力な指導者である。

現在、スカルポイント氏族はオーガの策動と英雄の探索行により、既に{結束}が -3pt. まで落ち込み、{不和、弱点}の能力値は(R2 ダメージ3ポイント等量で)2w2 の値にまで高まっている。また、{不和}に伴って恐るべき混沌の弱点、〈同族殺し、弱点〉も発生している。

さて、タイトニア嬢がスカルポイント氏族の不和を(少なくとも、氏族の女性の間では)回復させようと試みる場合、《女性を説得する》で回復を行う必要がある……が、彼女のアトリビュートは(能力値は高いものの)ルーン強度が必要な値に到達していない。

このため、一度の判定で回復を試みることは困難で、 1. 自然回復までの時間(400 日!)を待って、回復の際に{不和}による抵抗を突破する
2. R1 強度から判定を開始し、クリティカルによる R2 強度成功が出るまで粘る(加えて、下位の判定で累積した R1 強度ヒーローポイントも投入する)
といった手段が、まずはある。

が、このままでは焼け石に水……そもそも、実は氏族の{不和}を招いているのは、外部の混沌による上位魔術行為=英雄の探索行なのだ。何とか方法は無いかと、彼女は味方の人々から情報を集めて回り、〈オーランス神殿の神話知識〉で成功した。

実は、方法はある。つまるところ、R3 の成功を集めれば少なくとも{不和}は一撃で解消するのだから。というわけで、実はこちらも「英雄界における英雄の探索行」を発動すればいいのだ(たぶん、探索の最後に敵対するオーガを召喚し、"Heroquest Challange" が発生するだろう)。

ちなみに、オーランスによる「水竜アロカ退治」、アーナールダによる「マーランからエスローラを取り戻すのこと」、エルマルによる「エルマル、ステッドを護る」の神話は、どれも「同族殺しに対する対処」や、「氏族内部の結束回復」、あるいは「外から心の中に浸透してくる混沌の退治」といった要素を含んでいる……ので、これらに成功すれば現下の状況は解決できる。

さて、問題は神話の選択で……うん、アーナールダ神話を選んだときは、実はある特殊な手を使うと莫大な資源を用意できるのだが……(詳しくは、あるエスローラの下位カルトを参照してみよう!)

「大地が豊穣でいるためには、時には代償が必要なときもあります」

南無*3

さて、特に人間個体を表すキャラクター基準ルーン強度 R0)には、{信頼}の他にいわゆる HW/HQ における "Resources and Commitments" に相当する資源である、{コミットメント}が存在する。

R0 コミットメント:
初期値(固定):20
{コミットメント}は、個人がどれだけ〈縁故〉に対して身を捧げているかを表している数値で、各〈縁故〉(または、キーワード)に対して 0〜18 までの値で割り振られる。このキャラクターの生産する{ヒーローポイント}=アトリビュート判定成功は、各〈縁故〉に対して{コミットメント}×5% の割合で配分されることになる。
例:
“軍師”ガズダハムは、雨神ヘラーの帰依者("黒の雄羊"下位カルト)である。彼は多くの〈縁故〉を持っているが、総計 20 pt. の{コミットメント}の内、
《ヘラーの帰依者》に 10pt.
《オーランス神殿崇拝》に2pt.
〈氏族への献身〉に3pt.
〈氏族長への友誼〉に2pt.
〈PC のヒーローバンド〉に1pt.
個人的生活と家族関係に2pt.
を割り振っている。後の〈縁故〉は、基本的にギブ・アンド・テイクの関係に過ぎない。

この{コミットメント}によって、〈縁故〉を用いて試みることのできるアクションは以下のように制限されている。また、〈縁故〉を用いた緩和判定は、シーン中に{コミットメント}回まで試みることができる。

なお、以下では R0 強度の判定クーポンを前提として記述する:

コミットメント:0:
この状況では、〈縁故〉の相手は特にキャラクターに対して「悪意を持っておらず」、「とにかくキャラクターのことは知っている」程度の関係である(いわゆるコネ)。〈縁故〉相手は自分の得になるようなら資源の「交換」に応じるし、その場合には〈縁故〉を用いて鑑定能力として構わない。

また、噂や自分の業務で手に入れている公知な情報は「それを広めることが万人のためだから=広める人間も得をするので」、無料で教えてもらえる。基本的に、{コミットメント 0}の〈縁故〉の価値はここにある。
コミットメント:2
:多神教の Communal Worshipper/俗信者、精霊崇拝の Spiritist、一神教の Lay Member/平信者 がこの水準の{コミットメント}を、自分の属する宗派全体に対して割り振っている。基本的に、ある共同体に「普通に属している」というのはこのあたりになる(これより低いと、「近所つきあいが悪い」などの扱いを受ける)。

この状況で、〈縁故〉の相手はキャラクターに対して、予め定められた形で緩和判定を行ってくれる。例えば、〈友人〉なら気が付いた範囲で失敗のフォローをしてくれるし、共同体はその業務に基づいて便宜を図ってくれる(神殿なら《神力》を R0 で使用してフォローしてくれるし、学校なら学術を教えてくれる。また、そもそも精霊崇拝の Charm や 一神教会の Blessing/祝福 もこの類である)。また、重要なルールとして、共同体にもし公式に設定された Gurdian/守護者がいる場合、守護者の Gurdian Function/守護機能を用いて緩和判定をしてくれる。基本的に、R1 程度の大きさの守護者なら Gurdian Function の使用には失敗しないものだから、〈縁故〉を R0 の魔術能力だと思って緩和判定を行えると考えればよい。
コミットメント:3-4
:多神教における入信者や精霊崇拝における Practitioner、一神教の Liturgist/在俗牧師や Orderly/聖人教団の教団員、(教会に属する)魔道の達人などがこの水準の{コミットメント}を個別の神性や宗派に対して割り振っている。

この状況では、とりあえず〈縁故〉相手のアトリビュートから、適当なものを選択して緩和判定に使うことができるようになる(もちろん、ちゃんと〈縁故〉相手と接触できる状況ならば)。《神力》や《fetish》、《Saints Blessing/聖人の祝福》といった存在も、これに相当している(《信仰》の場合、これに加えて active に作用する魔術も教えてもらえる場合があるが、こちらはキャラクター個人の学習と捉えるべきだろう)。

共同体相手の場合、Gurdian Function 以外にも、共同体のアトリビュートを用いて緩和判定をできるようになる(同様、共同体が判定失敗するとは考えづらいので、都合〈縁故〉で緩和判定ができるようになる)。

コミットメント:10
:多神教における帰依者や精霊崇拝における祈祷師、それに(HeroQuest ではわざと解説を割愛されているが、恐らくは)一神教における本当の意味での魔道士(教会魔道士と異なり、《奥義》を習得できる)などがこの水準の{コミットメント}を、個別の"存在"に対して割り振っている。この水準で、《奥義》を習得できるようになる(精霊崇拝の Practioner は例外的に低いが)。

この状況では、〈縁故〉相手のアトリビュート中、一部に対してはあたかも自分のアトリビュートであるかのように使用できる(能力値は〈縁故〉相手のものを用い、ルーン強度は自分の〈縁故〉から求める)。普通、個人に対してこのようなコミットの仕方をする人はあまりいない。

共同体相手の場合、Gurdian Function を能動的に使用できるようになる。例えば Gurdian の method/存在形態が emanation/放散 である場合、Gurdian を宿したアイテムに接触できるのだろうし、その他の場合の形態でも似たような話になるだろう(Archtype/原型形態の場合、たぶん共同体指導者の近傍にいつもいるといったことであろう)。
コミットメント:18
:多神教における Disciple/使徒がこの水準の{コミットメント}を個別の神に対して捧げている。この状況では、自我がほとんど残っていない(全人生の 90% を捧げてるのだから当然なのだが)。恐らく、悟法の老師もこの辺だろうと思われる。

この状況は、最早〈縁故〉とは呼べない。もし共同体にこれだけの{コミットメント}を割いたなら、要はそのキャラクターは method: manifestation の Gurdian その人として、そこに顕現しているだけであろう。

さて、以上のように{コミットメント}によって〈縁故〉を用いたアクションは制限されるが、一方これを上位の共同体の側から見た場合、共同体は構成員一人あたり{コミットメント}に比例する{ヒーローポイント}を受け取って(そして、消費して)いることになる。

特に、一年間に一人の人間が生産する{魔力ポイント}は 20 点なので、ちょうど一年あたり{コミットメント}と同じ点数の{魔力ポイント}を受け取ることになる。Gurdian の Gurdian Function を求める場合、この総計{コミットメント}を[能力値-連続成功回数表]で変換した値を基準に、Gurdian Function の能力値を求めるとよい*4

さて、これら〈縁故〉と{信頼・結束}、{コミットメント}を用いたアクションには以下のような例がある:

資源交換」
〈縁故〉は必ず、〈縁故〉対象に対する〈鑑定〉として用いることで資源の「交換」を行うことができる(4. 『交換』参照)。また、共同体相手の「交換」の場合、「交換」は下位のキャラクターによる単独判定として行われる。

さらに、具体的な資源が手元に無い場合でも、〈縁故〉を用いることで資源の前借りを行うことができる。
「前借り」と{信用}
〈縁故〉の成功は、{信用}を発生させる。{信用}は将来において別のアトリビュート成功によって置き換えられることが保証されているクーポンで、とりあえず交換相手に保証として渡しておくものである。

「交換」において追加で〈縁故〉判定成功した場合、交換材料として実際のアトリビュート成功の替わりに{信用}を発行して相手に渡すことができる(支払い期限は、クーポンの持続時間として決定される)。{信用}創造を用いると、例えば右の市場から左の市場へ互いの得意なクーポンを交換させたりすることが容易になる(現物が無くても決済できるから)。
「預け入れ」と「資源管理」
〈縁故〉の単独判定成功すると、共同体に対して自分の好きな資源を与えることもできる。これは、例えば不用な{怒り}などの{感情}や、あるいは公共に対して{資金}を消費することを意味する。

この点で重要なのは、一般に下位のキャラクターが 20 点以上の資源を保持することはできない(通常、極端な回数の成功は{激情}を引き起こし、キャラクターの行動を束縛してしまうから)のに対し、共同体は(基準ルーン強度が高いために)それを超えて資源を保持できる点である。

そのため、普段から普段からヒーローポイントを積極的に共同体に還元していた場合、キャラクターは擬似的にルーン強度の高い資源にアクセスすることができるようになる(共同体が、キャラクターがこれまで行ってきた貢献を鑑み、より高次の資源をその場で用意してくれるのだ)。

ただし、共同体によって受け取り、管理することのできる資源は異なっている。例えば一門は日常的な資源(〈農耕〉や〈道具製作〉)といった資源を主に管理しているし、氏族の戦士団は常日頃から〈偵察〉の結果得た情報、さらにはメンバーの〈地理知識〉や〈戦術知識〉で解析した結果を管理している。また、引き出す際にアクセスできる資源は、共同体の持っているアトリビュートによって規定される(そして、そのアトリビュート能力値ルーン強度によっては、望んでもその資源を得ることができないこともあるだろう)。さらに、当然ながらこのようにして共同体から支援を受けるためには、共同体からの明示的な合意が必要である*5

さて、受け取った側の共同体では、これら下位のヒーローポイントを「統合」して、上位のルーン強度のそれに変えることができる。また、例えば今ここに、互いに相反する{感情}、例えば{恐れ}と{勇気}が共に存在したとしよう。すると、適切な状況においてどちらかを提供することで、見た目両者を一つの{万能な感情ポイント}として運用することができるようになる。

このように、共同体は構成員から受け取ったクーポンを、より一般的な形に加工して保存することができる。この行為を「管理」と呼ぶ。

「管理」は、指導者リーダーによる〈統率〉やその他のスタッフによる〈運営〉に基づき、操作する資源ルーン強度に等しい値のルーン強度単独判定を行って決定される。成功すると資源の変換(ルーン強度またはクーポンとしての束縛除去)が起こる。失敗すると、(指導者や参謀のアトリビュートの替わりに)共同体の{信頼}または、変換しようとしていた資源に対して打撃が入る。速度は1である。

しかし、別に「同意」は判定だけではなしに、ロールプレイに基づくきちんとした合意によっても得られるわけで、そのように共同体の意志決定結果として協力が得られた場合はきちんと得が出ていることになる。

7. 『信仰』と魔力源

さて、6. 『共同体』の特殊な場合として、信仰による魔力が定義できる。

今、《信仰》の成功は、{(神性からの)信用}として発行できる。さらに、このクーポンはそのまま神性の側に蓄える(故に、キャラクターの外部魔力源として使用)することができ、加えて神性は常に「{信用}の引き出し」に対しては無条件で同意する。

故に、もしキャラクターが全ての{信用}を引き出した場合、都合その《信仰》の能力値を[能力値-連続成功回数表]で変換したのと同じだけの{R0 魔力ポイント}に対してアクセスすることができる。また、神性は「管理」に自動成功すると仮定するので、好きなルーン強度配分でこれら魔力資源にアクセスすることができる。なお、神性は{祈り}の他に、{美徳}も管理できる。

そして、これら{信用}は、常に《魔術》の失敗に対する《緩和》に際して消費することができる。

なお、一度消費した{信用}は、寺院において一日祈って R1 強度の《信仰》判定成功すると、20 pt. 回復する。通常、寺院には{信徒の祈りを支える 0w2、R1}のクーポンが永続的に付与されているので、信徒はこのクーポンとの間で対称協調判定により{信用}を回復させて構わない(つまり、普通失敗は発生せずに留保のみで助かる)。

ゲームの例

"ダンバルと愉快な仲間達" は、ルナー帝国は銀の影君主領、ライバンス広域市に存在するエティリーズ系民間調査会社。社長ダンバル以下三名のエティリーズとオスリラの信徒達は、ダラ・ハッパや帝国の内外に関する実勢調査を請け負っている。

さて、ある時ライバンス市はオスリル川の河川改修事業に関与し、ロウドリル系諸建設会社に対する入札に当たり、経済性と安全性の観点からの評価事業を行うこととなった。

しかるに、近年ライバンス広域市は公共事業関連業務の発注に当たり、従来のイェルム神殿一辺倒からの脱却を行うよう、君主領府(銀の影君主領なので、即ち帝国中央政府)より強く指導を受けており、慣例ではロカーノウス系会社に対して委託すべきところ、致し方なく公開入札の形を取ることとなったのである。

さて、市庁府が提示した条件は、3営業週(21日)以内に、オスリル川河川改修に伴う水上交通網拡充に関する中期予測であり、要求能力値は 18 以上相当(連続成功回数9回、判定速度は一日に一回)であった。市庁府としては、およそ 0w1 程度の個人が作業して10日程度で完成に対し、予備として最大二倍の期日を設定したつもりである。

さて、ダンバル以下三名の調査・書類作成能力は全員が 15、期待連続成功回数は3回。一人が挑むと一回で約 7.5% の成功率。単純累積判定を6回(21日÷9日/作業単位×3名、失敗時点で再会するともう少し多くなる)ほど試みられたと見積もっても、40% 弱の成功率しかない。だが、ダンバルには秘策があった。

三人いるのだから、対称協調判定により作業を慎重に行えば失敗確率を減らすことで、連続成功回数 9 回に到達する見込みは十分にあるのだ。少々人件費がかさむが、ライバンス市庁府に〈縁故〉を設けるチャンスである。

若干原価を割れる価格で入札の結果、見事ダンバルと愉快な仲間達は業務を落札することに成功した。これで勝利は手にしたも同然だ(※1)。

かくして三人は業務をこれ一本に絞り、敢然と調査書類作成に邁進することになった。連日会議室で互いのクロスチェックを綿密に行い、書類上のミスを極力排除することに成功する。

が、ここで問題が起こった。ちょっとしたサイコロの不運で、連続成功回数6回(現在、{調査報告 17}が手元にあることになる)を数えたところで、締め切りがあと6日を切ってしまった!(※2)

ダンバルは歯がみをした。こうなると分かっていれば(※3)、途中で惜しみなく《魔術》を投入し、個別の単独判定失敗緩和していたというのに!(※4)

さて、とにかく時間は巻き戻らないので、善後策を模索してみよう。

まず、デス・マーチ(←全精力={魔力ポイント}を使い切ること)はデフォである。

しかるに、まず速度増強を考えてみる。

と、これは確かに速度を上げるが、難易度も上げてしまう(※5)。実は、留保が重なるだけなので、単独ではほとんど時間効率が向上しない(加えて、最終的なファンブルの可能性を高めてしまう)。

もっとも、速度増強した後に、下位の判定を積極的に緩和した場合、緩和に投入できる{魔力ポイント}量が上がるから、若干は効率が上がるかもしれない(最早6日しか無いため、一人頭魔力ポイント 20 を使い切るにはかなり無理をする必要があるのだ)。この方向の場合、デフォルトの{魔力ポイント}に加え、積極的に〈性格〉やら〈縁故〉やらを通じて魔力をかき集め、投入する必要があるだろう。

ただ、実のところ既にして赤字確定の事業なのである。ここで更にがんばって、取引先だのから〈縁故〉を通じて前借りしたりしたら、どうなるか……。この仕事は終わっても、自転車操業が苦しくなるのは目に見えているのである({魔力ポイント}が尽きると、失敗にことのほか弱くなることに注意)。社長としては、この選択肢は難しい。

しかし、ここでもダンバルはイイアイディアを思いつくのである(※6)。

※1: ダンバルは〈自信過剰、弱点〉を有している。

※2: 実際のところ、能力値 15 、三人間対称協調による累積判定は、留保が 52.25% もの高率で発生する。統計分布の分散を考えると、ダンバルの目論見通りに締め切りをクリアできる確率は、とてもではないが楽観できるものではない。

※3: だから分かってたって。

※4: 累積判定だと緩和が無意味じゃぁ――と思うと、さにあらず。今、対称協調判定の下位単独判定緩和しているだけなので、対称協調判定全体は留保になって、しかも例えば一人だけが失敗、他の二人が成功しているところを緩和してやれば、他の二人の成功は次にスライドして適用される。結果、次の判定緩和した一人だけがサイコロを振るので、確率 75% で作業が進行するのだ。

というわけで、ちょっと工夫をすると魔術は累積判定の結果を質の観点からも良くすることができる。ちなみに、こういうことがあり得るからこそ、日頃から〈性格〉ロールプレイをしては{感情}を累積し、必要な時には惜しみなく緩和増強を行うべきである。

※5: 状況としては連日徹夜、〈オロナミンCと友人、弱点〉状態とでも形容すべきか。当然、小人さんが仕事をするので割に凡ミスが多発する。互いにクロスチェックをしてると、ミスをつつきまくる展開になるので〈縁故〉の危機とも言えよう。お疲れ様です。

※6: 〈才気活発、弱点〉。なぜ弱点かと言うと、土壇場のアイディアに頼って準備をおろそかにするから。

さて、ルカレシュは天宮の役人にして星見たるブゼリアンの帰依者。ライバンス広域市市庁府河川局水理課に勤務するしがない係長である。彼の目の前には、先日来発注していた河川改修事業に関する調査報告書が並んでいる。業務は、この書類に目を通して要求仕様を満たしているかの確認。

というわけで、〈ダラ・ハッパ語(火炎語)読み書き〉と〈数学〉の混合判定を単位に、{調査報告}に対して単純比較判定を行うことで能力値を推定せねばならない(※7)。

で、これがめんどくさい仕事なのである。なにしろ、要求仕様が能力値 18 だから、こちらも連続で9回以上の成功を収めなければならない(一応業務なので、途中で失敗したら緩和して調査を続行する義務もある)。

さて、ぼやいてみても仕事は減らぬので、あきらめて業務に取りかかることとする。ルカレシュは両方の能力に楽々マスタリーを有しているので、判定単位5回の短縮判定で(主に PL が)楽をしようと試みた。単調判定側に成功したので、まず 5R0 の達成度を生成する。すると、書類は3回目で留保

留保

なんじゃそりゃ、と驚き、ルカレシュは改めて書類の状態を調査した。すると、なにやら変な形式の書類である。具体的には、本編と附則文書が妙な相互参照をしているのだ。

怪しい。

ルカレシュはため息をつくと、河川局の透明円蓋(※8)を仰ぎ、ひとしきり愚痴を述べた後に課の年次割り当て魔力残量を確認し、儀式魔術を開始する。見よ、不滅の皇帝、人類の黄金の希望、(以下残り98の重要な称号と 1,000 のそれほど重要でもない称号省略)偉大なる皇帝イェルム陛下の、10 の偉大なる眷属たる惑星たちと完全なる天界に座す(以下 100 星座の具体名称省略)星座の監視者、ブゼリアンの大いなる力、《Audit Books/帳簿監査 10w1 R1》※9!

……かくして二度の対称対立判定によりめでたく{調査報告}は陥落した。

さて、この報告書、なぜか本編{調査報告 17}と附則{調査報告 16}が常に対称協調判定を試みるよう設定されているのである。なんじゃそりゃ。能力値 17 は成功数6、16 は成功数4だから、普通に能力値 18 (成功数9)の書類を作るより手間を要しているではないか。

とりあえずひとしきり首をひねった上で、書類作成者を絞り上げて経緯を吐かせた結果、大体の構造が判明した。ダンバルは、締め切りが残り6日の段階で対称協調判定による完成をあきらめ、即座に三人が単純累積判定をする形式に変更。そして、一番デキが良さそうな書類で附則文書を構成し、協調判定の形式でまとめて編集したのである※10。

さて、全体像が分かったところでルカレシュは難しい判断を迫られることになる。たいそう迷惑なことに、要求仕様は「能力値 18 以上、「相当」」なのだ。

この書類、失敗成功率だけを見るなら、1:18.5 程度。ほとんど能力値 19 の文書と見分けが付かない。能力値 18 よりも性能は上か?

が、世の中そんなに甘いわけがないのである。対称協調判定は、留保の可能性がつきまとうのだ。この場合、大体3回に一回くらいの確率でこの文書は留保を出力してくる。

さて、河川局の内部でこの文書がどのように使われるかというと、この文書を一時情報として人々は計画を立案することになる(※11)。すると、この文書が留保をする(※12)たびに、時間が失われることになる。更に、判定回数が1.5倍に伸びるため、最終的ファンブルの可能性が 50% 強上昇するのである。まて、それは悪くすると(※13)人が死にかねないぞ。

さて、ではルカレシュはどうすれば最善だろうか。

ルカレシュはゲンナリした。こんなことになるなら、もっと早くに連絡を受けていれば幾らでも対処の仕様があったのだから。ちょっと〈縁故〉を通じて{信用}を発行し、締め切りを数日延ばすだけですんだ話ではないか!

さて、ルカレシュはブゼリアンの官僚に漏れず、自分を〈誠実〉で〈善良〉な人間だと思っている。さらに、なんと驚くべきことに、彼は客観的にも〈誠実〉で〈善良〉な人間だったのだ!※14

とにかく、とりあえず書類は受け取り、そのまま実際に書類を使用する部局に回さねばならないだろう。しかし同時に、書類の写本を作り、写本の方で書類作成を続行させ、完成時点で先に送り出した書類と差し替えるのが最良であろう。

問題は、で、誰がそれを写本するのか、である。総成功回数 10 回分の文章を、誤り無く写す。

……かくして、ルカレシュは泣きながら《Tireless Hand/疲れを知らぬ手》、《Everfull Quill/尽きぬ羽ペン》で増強しつつ、《Repel Inkblot/インクの染み抵抗》を緩和に用いて残業するハメになったのであった※15。

なぜ、ブゼリアンには《文書複製儀式》が無いんだ〜〜!※16

……こうして、哀れな一官僚の嘆きを吸い込みながら、今日もイェルムは暮れてゆく。

ここはライバンス、ダラ・ハッパトライポリスの中心、イェルムのジグラットの下に築かれた都市。

またの名を、"皇帝達の都"。

※7: 基本的に、情報収集は〈知覚系〉+〈解析系〉の二つが関与することが多い。今回は両方とも等価ということで、混合比 10:10 の混合判定で処理することにする。

で、これではめんどくさいので、単純累積判定を〈ダラ・ハッパ語読み書き〉と〈数学〉に対して行い、両者の単純平均を成功回数とみなす。どうせ、多数回振ったら大体半分ずつが判定に寄与するのだから。

※8: ブゼリアンの神殿は、いつでも天体を監視できるようドーム天井に穴が開いているか、あるいはこのように透明ガラスで覆ってある。

※9: 日本語に訳すと帳簿監査であるが、原語は books だから、当然書籍の監査もできるだろう。というか、割に HW/HQ の魔術は翻訳できねぇ魔術が多い。だから形式言語の定義に駄洒落を含ませるなとあれほど(ry

※10: 能力値 15 の場合、単純累積判定を三人がかりでかければ、結構確率的には能力値 16 程度のクーポンは作れるのである。この辺、増強緩和をかませるともう少し高速に実行できるだろう。

※11: もちろん、マスタリーを有さない程度の情報に過ぎないから、いつまでも完全に真とは言い切れない。故に、補助的に用いられる文書だろうと予想はされる。

※12: つまり、文書を読んでいる人間が本編・附則文書間に存在する矛盾点を一生懸命読み解いているわけだ。

※13: もちろん、多くは誰かの対称協調判定によるチェックか、あるいは緩和によってカバーされるだろうが。しかし、ハインリッヒ則はバカにしてはならないのだ。

※14: なにしろ、カルトの美徳が保守的、衒学的、正確、想像力欠如ときてるのだ。ドコが美徳なんですか?

※15: 〈ダラ・ハッパ語読み書き〉にマスタリーがあるので、この場合は可能な限り〈性格〉から回した{感情}を使用しつつ増強して速度を上げてかかるのがよいのである。合掌。

※16: ブゼリアンと同様、《読み書き》の《神力》を持つランカー・マイには《文書複製儀式》がある。もしかすると、ランカー・マイのカルトシークレットなのかもしれないが……まさかねぇ。

2006年04月06日 23:56 Cato  

つまり、資本力に自信のない中小企業による、公共事業への食い込みに際して行われた「偽装」(不誠実な書類)をチェックするため、ルカレシュ氏は偉大なる「イェルム」様が何度も天を駆けられる間、ひたすら書類仕事なわけですな。

どこの「姉歯」ですか?このシナリオは。

つまり、こういう書類戦闘「も」できるシステムというわけですね? いや、ブゼリアンのプレイヤーが活躍するのって、珍しい気がするもんですから…。

次はさしずめ、下請け丸投げのロカーノウス系大企業と、ライバンス公正取引委員会の死闘でしょうか。

追記) ダンバルの報告書の調査終了、複写後の、ルカレシュ氏の一言について。

「太陽が黄色かったから…」

2006年04月07日 19:22 Vampire.S  

ルカレシュ氏は偉大なる「イェルム」様が何度も天を駆けられる間、ひたすら書類仕事なわけですな。

おっしゃる通りです。合掌。いつもお疲れ様です。

どこの「姉歯」ですか?このシナリオは。

姉歯役は、実はいないんですよね。加えて、あの時の国土交通省には、あまり〈誠実〉で〈善良〉かつ〔有能な官僚〕だった人がいたようには見えないのですけど、どうなんでしょう。

もっとも、この場合ライバンス市は地方公共団体なので、またちょっと違うんでしょうけど。この場合、圧力をかけた銀の影君主領府に相当するのかなぁ?

つまり、こういう書類戦闘「も」できるシステムというわけですね?

的確なまとめ、ありがとうございます。

ね?

ゲ ー ム や り た く な っ て き ま せ ん か ?

↑注:普通の人はこういうゲームはしたくないです

次はさしずめ、下請け丸投げのロカーノウス系大企業と、ライバンス公正取引委員会の死闘でしょうか。

あ、良いシナリオですね。ロカーノウス系大企業は〈縁故〉で攻撃してくるところ、ライバンス公正取引委員会は〈法令〉と〈規律〉で対抗するんですね。大変だ。

 ダンバルの報告書の調査終了、複写後の、ルカレシュ氏の一言について。

「太陽が黄色かったから…」

これね、ホントに可哀想なのは、分かると思うけどルカレシュ氏の努力って、誰にも評価されない点なんだよね。

なにしろ、ダンバルにしてみれば要求仕様の曲解をしたら、赤字をさらに割り込む(作業量が追加)仕事を押しつけられちゃってるし、さらに言うなら、ルカレシュの職掌からすると「通すべきか、通さないべきかの指針が上位から来てないのが問題」で、しかしながら公共の利益を鑑みてあえて自発的に残業してるだけなんだもの。

だからこそ、筆記作業にはあえて R1 強度魔力(〈係長〉という〈縁故〉を通じたライバンス市庁府年間魔力予算にたいするアクセス)を絶って、自分の資源である{誠実}と{善良}、それにもちろん{睡眠時間}を消費してるわけで。


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*1 故に、後からその対象がどのようなキーフレーズを持っているかは、その都度その情報に対して確認し直すことができる
*2 正確には、ルーンウォーズにおけるプロフィールはもっと長いので、アブストラクト相当だが。
*3 StormTribe, Ana Gor のカルト参照。
*4 なぜかというと、今 Gurdian Function の能力値を用いて R0 成功を積み重ねていくと、ちょうど構成員達から受け取ったのと等量の{R0 ヒーローポイント = 魔力ポイント}を発生させることができるので。非常に稀な例(コメット・シアーズ等の会戦級〜戦略級魔術部隊)以外では、Gurdian Function は基本的に構成員に対する緩和判定用の資源として用いられる。
*5 ところで、「共同体からの明示的な合意」を〈縁故〉判定で手に入れている場合、キャラクターは全然得をしていないことになる。結局、望んだルーン強度資源を手に入れるために、等価なルーン強度判定結果を適用しているだけなのだから。

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